『街のあかり』:コイスティネンが孤独な理由:更なる追記

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過日友人の脚本家と酒席を催した際に、わたしが「どうも主人公の孤独感が判らないのだけれど・・」と切り出したら、「ええ!」との驚きとともに、判りやすい解説をしてもらいました。

曰く、コイスティネンはロシア(旧ソビエト連邦)からの移民である
 だから、フィンランド語が上手くないため、同じ警備員仲間との会話もすくなく、疎外されている。
 また、フィンランド語も読めないため、ホットドッグ売りの女主人からの手紙も破り捨ててしまう。
 映画の冒頭で、コイスティネンが警備をしている際に同じロシアからの移民が酔ってロシアの民謡を歌っていて、さっと身を隠すシーンがあるでしょ。あれは、同郷者に見咎められたくないからだよ。
 ヨーロッパ圏では、ロシアからの移民が増えているので、あの冒頭の描写だけで、「なるほど」と判ると思うんだけど。


といわれて、合点がいった。

冒頭、オープンニングで流れる曲は「ボルベール・帰郷」である。
また、コイスティネンはよくラジオを聴いているのは、語学の勉強か。
さらに、Myムービーのレビューでわたしが記した、これまでのカウリスマキ作品と比べて「まあイイ男ともいえる」のは、移民だから、これまでのタイプと異なる俳優を使った訳か。
「愛想が悪い、付き合いが悪い」「実は字が読めない」「頭が悪い(ように見える)」のも、合点がいく。

とすれば、ロシアのギャングに利用される(それも、あのタイプは裏切らないと評された上で)のも、同郷人としての卓見か。

皮肉な話、哀しさは加速するなぁ。


友人の指摘は多分、的を射ていると思う。

とすれば、本作品について、そのような観点の解説がなかったことは、観客としては非常に残念である。


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この記事へのコメント

ぷ~太郎
2007年08月14日 18:58
おおお~!!!そうでありましたか!!
これですべて合点がいきます。
なるほどね、そうとわからなかったわが身のうかつさを恥じると共に、さすがプロ、その脚本家の方はすごいですね。
でも、でもですね、そうとわかって思い返してみても、やはり叙情は他の作品と比べて半減していると感じてしまいますね。主役の男優がいい男すぎる(今までの作品と比べて)のか、
何なんでしょうね。
マッティ・ペロンパーの変な顔でも、充分に余韻を感じていたのに・・・・。
2007年08月14日 22:32
ぷ~太郎さん、いつもコメントありがとうございます。
叙情度合いを確かめに、近日『パラダイスの夕暮れ』を鑑賞の予定です。
これでカウリスマキ「労働者三部作」を性は出来ます。
鑑賞後、レビューをUPする予定ですので、気づき事項があれば、またよろしくお願いします。
miyu
2008年01月30日 00:45
コメとトラバありがとうございました。
そうそう、この記事でした。
やっぱりお友達は脚本家であってましたね。
他にトラバ頂いた記事も拝読させていただきました。
なるほど、深い考察で面白かったです。
短い映画で、登場人物があまり多くを語らないからこそ
様々な考察が出来て面白いですね。
2008年01月31日 00:19
miyuさま、コメントありがとうございました。
登場人物があまり多く語らないからこそ、観る側でいろいろ感じたり、考えたり出来るのだと思います。同感です。
また、コメントなどお待ちしております。
ぷちてん
2008年03月11日 19:47
TBありがとうございます。
そうなんですね!!
なんかよくわからない孤独な男というだけだったので、これを読ませていただいてとっても納得~~。
そうか、そういうことなら手紙も破いちゃいますよのね。(う~ん?自分なら破かないかも(笑))

とっても参考になりました^^)どうもありがとう~~♪

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