『叫びとささやき』:映画史上最も怖く美しい映画の1本 @VHS・レンタル

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先日、1966年製作(日本での劇場未公開作品)の『』のDVD鑑賞に続いて、イングマール・ベルイマン監督作品を鑑賞しました。
今回は1972年製作の『叫びとささやき』。
舞台劇のようなスタイルをとりながら、映画的表現に満ち溢れた映画、そして「怖い」映画でありました。

19世紀のスウェーデン。
森に建つ邸宅で女性が病に臥せっている。
彼女の名はアグネス。
父母から邸宅を受け継ぎ、看病役の召使アンナとふたりで暮らしている。
アグネスは三姉妹の次女で、姉のカーリン、妹のマリアが見舞いに訪れている・・・

物語はそれほど起伏に富んでいるわけではなく、見舞いに訪れた姉妹の傍でアグネスが死に、死してなお魂が彷徨を続け、アンナに包みこまれるようにしてアグネスの魂が平安に包まれる、というものです。
その物語と並行して、三姉妹とアンナの回想シーンが入り、それぞれの生と性と死が、ある種の絵画のように描かれていきます。

映画自体をある種の絵画のようにみせる工夫として、画面の美的統一感があります。
邸宅の内装を深紅で統一し、姉妹と召使いの服装を白(または黒)に統一した様式美、それか衝撃的で印象的で効果的です。
この色が、生と性と死を暗示しています。
平安な生=白、不安な生または死=黒、無意識にほとばしる性=赤、といったところでしょうか。

舞台劇のようなスタイルといったのは、登場人物それぞれの回想シーンへの入りかた。
回想する人物の顔のアップからフェードイン・フェードアウトで回想シーンに入るのですが、画面が暗く(黒く)なるのではなく、画面が真っ赤に変わります。
舞台でスポットライトから暗転するかのような語り口です。

そして、それぞれの回想シーンで、四人四様の性格を描写していきます。

妹マリアは、性に奔放。
過去にアグネスの主治医と関係を持ったこと、またそれが原因で夫との仲が悪くなり、夫が自殺未遂をしたこと。

姉カーリンは、性に抑圧されており、二十歳以上年上の夫との間に何人も子どもを設けるが、実が不満なこと。
自身の女性器を傷つけて、流れ出る赤い血をなめるシーンは鬼気迫るものです。

病に臥せるアグネスは、子どもの時分、母親から疎外感を感じていたこと。
妹のマリアをかわいがる母親を妬ましく思っており、さらに、これまで男性と恋におちたこともないこと。

召使アンナ、姉妹の両親が健在な時分から仕えており、若いころに娘をもうけたが亡くしていること。
それ以来、どこかおどおどしていること。

このように、四人四様の過去と性格を描いていることで、アグネスの魂が死してなお彷徨を続け、死してなお恨みの言葉を吐くという、本来ならあり得ない事柄がありえるように描いています。
四人の女の愛憎、相克。

アグネスの彷徨える魂を平安に導くように、亡き母に代わって死したアグネス抱きかかえる召使アンナ。
そのシーンは、映画史上最も美しいシーンのひとつといえましょう。

評価は★5つです。

そのほかのベルイマン監督作品のレビュー
第七の封印
秋のソナタ
サラバンド
関連ドキュメンタリー
リヴ&イングマール ある愛の風景

              

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2014年映画鑑賞記録

 新作:2014年度作品
  外国映画11本(うちDVDなど 1本)
  日本映画 8本(うちDVDなど 0本)

 旧作:2014年以前の作品
  外国映画44本(うち劇場 3本)←カウントアップ
  日本映画13本(うち劇場 3本)
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