『神様の思し召し』:梨も木から落ちる @DVD・レンタル
DVDでの落穂拾い4本目は、昨年夏公開のイタリア映画『神様の思し召し』。
2015年の東京国際映画祭で、観客賞を受賞した一篇。
さて、映画。
超一流の腕を持つ心臓外科医トンマーゾ(マルコ・ジャリーニ)。
ややもすれば傲慢な面が無きにしも非ず。
ある日、医大に通う息子から「家族、みんなに告げたいことがある・・・」と言われる。
さては、同性愛のカミングアウトと身構えたが、意外にも「神父になりたい」との告白。
これは同性愛よりタチが悪いと思ったトンマーゾが調べてみると、息子がカリスマ神父ピエトロ(アレッサンドロ・ガスマン)に傾倒していることを突き止める。
どうにも胡散臭いピエトロの真の姿を知ろうと、トンマーゾは身分を偽ってピエトロに接近する・・・
というところから始まる物語で、トンマーゾの偽る身分が、失業中で神経症の妻と障碍を持つ弟がいるという設定。
そんな設定でドタバタの笑いを繰り広げられる前半は、イタリア喜劇らしく結構泥臭い。
が、医師であることがピエトロにバレてからも、ふたりは付き合うようになり、徐々にトンマーゾの傲慢さが影を潜めていくあたりは、定石的だが、なかなかよろしい。
息子の神父への転身希望も一時の気の迷いだったことがわかって一件落着と思われたところで、ドラマは急展開する。
いつものように夜の集会での説教に向かうピエトロが事故に遭ってしまう。
さて、どうなるか。
そこから先は観る者に委ねられている。
ラストショットは、木の枝から落ちる洋梨。
途中のシーンで、ピエトロがトンマーゾにいう台詞。
「梨が枝から落ちるのをみると、引力のせいだと君は思うかもしれない。けれど、ぼくはそれも神様の思し召しだと思うんだ」
なかなか味わい深いエンディングである。
評価は★★★☆(3つ半)としておきます。
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2017年映画鑑賞記録
新作:2017年度作品:21本
外国映画17本(うちDVDなど 2本)
日本映画 4本(うちDVDなど 0本)
旧作:2017年以前の作品:22本
外国映画19本(うち劇場鑑賞 5本)←カウントアップ
日本映画 3本(うち劇場鑑賞 0本)
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この記事へのコメント
この作品、こちらも私東京国際映画祭で鑑賞しました。書かれていらっしゃるように、観客賞を受賞したので、結構嬉しかったです。
宗教と個々人の生き方が上手にシンクロしている作品だと思いました。
梨も木から落ちる、それも神様の思し召し。
原題の「SE DIO VUOLE」も、神様の思し召しの意味ですね。
これも拾い物の一本でした。
すべて神様の思し召しと思うと人生楽になるかなぁ。
神様は、誰にでも平等なので、何もしてくれません、って思うと、もっと楽です。