『この空の花 長岡花火物語』: 映画は、記憶の記録でもある @映画祭

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大林宣彦監督2012年作品『この空の花 長岡花火物語』、蒲田映画祭で鑑賞しました。
蒲田映画祭は今回が6回目。
1回目に大林監督から開催激励の言葉をいただいてもい、今回は監督の登壇&トークもありました。
大林監督を拝見するのは2度目(たぶん)で、前回は「映画ファンのための映画まつり」(京都から大阪に舞台を移しての開催)で、『さびしんぼう』が選出されたときのこと。
もう数十年も昔のことですね。

今回登壇された監督は「余命3か月」と診断されただけあって、かなり肉体的には衰えた感じがありました。
けれども、ご存知のとおり、その後、新作『花筐/HANAGATAMI』を撮り上げ、現在も新作の製作中。
まだまだ、映画と自身を語るだけの体力・気力は持ち合わせており、ホッと;一安心でした。
トーク後には、ホワイエで開催中の自身作品のポスター等の展示を、パートナーの恭子夫人の押す車椅子の上で、懐かしそうにご覧になりました。

さて、映画。

2011年。
九州天草の地方紙記者である遠藤玲子(松雪泰子)は、東日本大震災ののち、被災者をどこよりも早く受け入れた新潟県長岡市にやって来た。
この地にやって来た理由は、取材以外にもあった。
それは、かつての恋人・片山健一(高嶋政宏)から届いた手紙だった。
片山は生徒の元木花(猪股南)が書いた戯曲『まだ戦争には間に合う』を舞台化し、長岡花火が上る8月1日に上演するとと書いていた。
8月1日・・・それは、長岡が米軍からの空襲を受けた日・・・

といったところから始まる物語で、現在と近過去、そして太平洋戦争時と、映画は時間を超えて、不思議な縁(えにし)で繋がっていくいくつかのエピソードをタペストリーのように紡いでいきます。

大林作品としては2007年『転校生 さよなら あなた』、2008年『その日のまえに』 に続く作品ですが、この2012年作品『この空の花 長岡花火物語』から、直前の映画と趣を変えていったことがよくわかります。

日本の「ふるさと」(監督は「古里」と表現しますが)を舞台に、忘れてはならない太平洋戦争の記憶を掘り起こし、映画の中に定着させようとしています。
映画は記憶でもあるが、記憶の記録でもある。
忘れてはいけないことは、ある。
そういう信念でしょう。

この後に撮った『野のなななのか』『花筐/HANAGATAMI』は、物語性を強調し、そのドラマツルギーがどこか息苦しく、堅苦しく、喘ぎたくなるようなところがあるのですが、この映画は「エッセイ」と冒頭に出るとおり、物語が解放されており、それが時間を経て観ても、新たな感情を呼び覚ますような感じがします(今回が初鑑賞なので、ロードショウで観たならば、もっと鮮烈だったのかもしれません)。

物語からは解放されているけれども、エモーション的にはいつも新鮮・・・
大林監督の代表作の1本と、まちがいなく言えると思います。

評価は★★★★★(5つ)です。

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2018年映画鑑賞記録

新作:2018年度作品:71本
 外国映画56本(うちDVDなど 6本)
 日本映画15本(うちDVDなど 2本)

旧作:2018年以前の作品:69本
 外国映画60本(うち劇場鑑賞14本)
 日本映画 9本(うち劇場鑑賞 3本)←カウントアップ
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