『トニー滝谷』:15年ぶりに鑑賞しての新たな発見 @名画座・フィルム上映

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村上春樹原作映画、名画座2本立てで『バーニング 劇場版』の前に観たのが市川準監督作品『トニー滝谷』。
2005年の初公開のときに観ているのですが、今回は近頃では珍しいフィルム上映なので、改めて鑑賞することにしました。
さて、映画。

トニー滝谷の名前は、本当にトニー滝谷だった・・・
とナレーション(西島秀俊)されるトニー(イッセー尾形)はメカニックなどを手掛ける売れっ子イラストレーター。
彼の前に現れた女性編集者・英子(宮沢りえ)に恋してしまう。
彼女には、どうしてもたくさんの洋服を買ってしまう癖があったが、ふたりは結婚し、ある日、英子は事故でこの世からいなくなってしまう。
遺されたのはたくさんの洋服と靴・・・

というのが映画の中盤。
この後、英子に似た女性・久子(宮沢りえ・二役)が現れ、トニーは英子が遺した洋服と靴を身に着けて、身の回りの雑用をしてほしいと頼むが、洋服が並ぶ部屋の中でむせび泣く久子をみて、心変わりする・・・と展開する。

村上春樹の小説を映像に移し替えるにはどうしたらいいか・・・と考えた市川準監督は、原作の文章をナレーションに多用し、台詞を極力排除、シーンシーンはゆっくりとした横移動撮影で繋ぐ、という演出。
さらに、宮沢りえのみならずイッセー尾形にもトニーの父・省三郎を演じさせ、時間的な経過を不思議な感覚にさせてしまう。

初公開時のレビューメモには、
「後半、ヒサコ(宮沢りえ二役)が登場してからは「映画」の演出をせにゃならん筈なのに、前半と同じように演出してしまったようで。策士策におぼれる」とあるが、後半は演出スタイルを少し変えていたことを発見。

演出の変化は、バストショットが少し増え、カットも少し割っている、登場人物たちに会話のキャッチボールが少しだけ増える、というもの。
ささやかなこの変化ぐらいが全体のトーンを保てる限界と考えたのでしょう。

それにしても、久子がたくさん並んだ洋服たちのあいだでむせび泣くシーンは出色。
宮沢りえ、やはり魅力的。
トニー役、いまだったらナレーションの西島秀俊をキャスティングしたいところ。

評価は★★★☆(3つ半)です。

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2019年映画鑑賞記録

新作:2019年度作品:30本
 外国映画29本(うちDVDなど 3本)
 日本映画 1本(うちDVDなど 0本)

旧作:2019年以前の作品:45本
 外国映画34本(うち劇場鑑賞 8本)
 日本映画11本(うち劇場鑑賞 3本)←カウントアップ
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