『恋する男(女はコワイです)』:シチュエーションサイトギャグのつるべ打ち @企画上映

画像

ピエール・エテックス監督・脚本・主演の1962年作品『恋する男』、企画上映で鑑賞しました。
原題は「LE SOUPIRANT」、求婚者という意味。
今回の上映では『恋する男』となっていますが、1963年に東和配給で『女はコワイです』のタイトルで劇場公開されています。
エテックスとともに脚本を書いたのはジャン=クロード・カリエール
この後、『小間使の日記』『昼顔』『銀河』『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』とブニュエル監督と組み、『自由の幻想』では共同監督も務めています。
さて、映画。

フランス・パリのとある家。
天文学一筋の息子(ピエール・エテックス)が未だ独りを案じた父親(クロード・マッソ)と母親(ドニーズ・ペロンヌ)。
どうにか説得して息子の関心を女性の方に向けることに成功した。
家には東欧から来た若い娘(カリン・ベズレー)が居候しており、息子は彼女に「結婚してください」と言うが、娘はフランス語はさっぱり。
仕方なく街へ出て、プレイボーイの真似をするが、どうにも上手くいかない。
ひょんなことからナイトクラブで気のいい女性(ローランス・リニェール)と知り合うが、彼女は酒乱でケタタマシイ。
辟易しているときにつけたテレビに出ていた歌姫ステラ(フランス・アルネル)にひとめ惚れし、猪突猛進、彼女が出演する劇場の楽屋にもぐりこんだが、なんと彼女には自分と変わらない息子が!
失意のもと自宅へ戻ると、居候していた娘が故郷へ帰ることになった。
駅まで彼女を追いかけることにしたが・・・

といったコメディ。

とにかく面白い。ちょっとバスター・キートンに似た感じもするピエール・エテックスだが、キートンほど無表情ではない。
体技で笑わせるタイプのコメディでもなく、シチュエーションのサイトギャグを、これでもかこれでもかと繋げていく。

前半で秀逸なのは、乾坤するんだ、女の子を見つけるぞ!と決心したエテックスが、彼女を見つけたら、こんな風にプロポーズして、こんな風にダンスして、と独りで空想のお芝居をするところ。
何人もの女性が登場するが、それは、空想。
ハンガースタンドや花瓶を相手にダンスをする。
それを、女性とのシーン→花瓶相手のダンス、といったようにワンカットでみせる。

中盤でのシチュエーションサイトギャグのつるべ打ちは、ナイトクラブのシーン。

プレイボーイにやり方をまねて、隣席で口紅をつけていた女性が塗り終わって煙草を吸おうとしたときに、
タバコを出す(女性が先に出す)→
火をつけようとする(が女性が先につけてしまう)→
困って自分も煙草を吸おうとするがライターがない→
ライターを借りようとして、誤ってテーブル上のリップスティックを取る→
反対隣に男性がやってきて吸いさしのタバコを置く→
エテックス、間違いに気づいてリップスティックを灰皿へ(このとき灰皿をずらしてしまう)→
灰皿の位置がずれたことに気づかず、隣の男、リップをタバコと思って口元へ(唇にルージュが付く)→
隣の男、彼女が来たので、テーブルから立ち上がるが、ルージュに気づいた彼女は男を平手打ち→
エテックス、「彼、振られたね」と隣の女性に話しかけるが、そこへ女の彼氏が来て席を立ってしまう(エテックス、がっかり)。

と、これは一例だが、シチュエーションが数珠つなぎになって、かつサイトギャグとして拍車をかけていく。

いやはや、びっくりするような笑いの才能。

このサイトギャグの面白さは映画のエンディングにも活かされていて、(観る機会が少なそうな映画なので書いちゃいますが)・・・

駅まで居候娘を追いかけたエテックス。
列車の窓を外から覗くが、彼女は見つからない。
それもそのはず、彼女はこれから列車に乗るところ。
窓を覗き込んでいたエテックスを見つけた彼女が近づき、ふたりは互いに手を差し出すが・・・
ありゃりゃ、エテックスがなぜだか後ろへスルスルと下がってしまう。
列車は止まったまま。
あにはからんや、車窓に背が届かなかったエテックス、荷物運びのトレーラーの低い荷台に乗っていた。
トレーラーに乗せられたままホームの端に遠ざかっていくエテックス。
それを呆然と見送る居候娘・・・

と、これが笑わせるが、さらにセンスが良く、ホームの端までついたトレーラーはUターンして、こちら側に進んでくる。
エテックスを乗せたまま・・・

と、ちょっとホッとする、ハピイなエンディング。

なお、途中でエテックスが惚れる歌姫ステラ、どうみてもエテックスの女装にしかみえないのだけれど、フランス・アルネルの名前で他にも出演作があるようなので、やはり別人なのかしらん?

評価は★★★★★(5つ)です。

------------------
2019年映画鑑賞記録

新作:2019年度作品:38本
 外国映画35本(うちDVDなど 3本)
 日本映画 3本(うちDVDなど 0本)

旧作:2019年以前の作品:54本
 外国映画41本(うち劇場鑑賞 9本)←カウントアップ
 日本映画13本(うち劇場鑑賞 3本)
------------------

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック