『鈴木家の嘘』:映画としての締めくくりはまずいものの・・・ @DVD・レンタル
昨秋ロードショウされた『鈴木家の嘘』、DVDで鑑賞しました。
前置きはなしで、さて、映画。
鈴木家は父・幸男(岸部一徳)、母・悠子(原日出子)、息子・浩一(加瀬亮)、娘・富美(木竜麻生)の四人家族。
長年、引きこもり生活をしていた浩一が突然自殺してしまう。
母・悠子はそのショックから記憶を失い、息子が自殺したことを忘れてしまう。
そんな母を慮ってふと口から出た嘘は、浩一が叔父・博(大森南朋)の誘いで、アルゼンチンでエビの買い付けをしているというものだった・・・
といったところから始まる物語で、コメディの要素が高い物語ながら、映画はじっくりとしたテンポで、どちらかといえば陰気な感じで進んで行きます。
この語り口は嫌いではない。
どちらかといえば好きな部類で、母・悠子を囲むそれぞれの人物がじっくりと描かれていきます。
父親は、息子の部屋から出てきたソープランドの切り抜きとソープ嬢の名刺を頼りに、生前の息子のことを探ろうとする。
妹は、自殺者遺族の会に出席し、自分の気持ちに折り合いを付けようとする。
叔父は叔父で・・・意外なほどの能天気なのだが、姉・悠子を気づ付けまいと必死である。
こういったあたりをじっくり描くので、コメディとしての笑いは乏しいが、見どころも多く、特に、妹が会で死んだ兄についての想いを吐き出すワンカットの長いシーンは素晴らしい。
なので、もっと高評価したいのだけれども、後半、そのじっくり感が失われ、終幕近くの霊媒師のシーンは拙い。
家族の再生をエンディングにしたいという作り手の想いが、空回りした感がある。
(浩一の魂の暗喩として蝙蝠を出したあたりは認めるが)
個人的には、父親が探し回っていたソープ嬢が家族とはまるで関係ない場所で登場して、浩一が短期間働いていた作業場の仲間とよろしくやっている・・・みたいな素ッとぼけた開放感みたいなオチが良かったのではないかしらん。
ということで、映画としての締めくくりはまずいものの、評価は、★★★☆(3つ半)としておきます。
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2019年映画鑑賞記録
新作:2019年度作品:70本
外国映画56本(うちDVDなど 7本)
日本映画14本(うちDVDなど 3本)
旧作:2019年以前の作品:69本
外国映画49本(うち劇場鑑賞12本)
日本映画20本(うち劇場鑑賞 6本)←カウントアップ
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この記事へのコメント
無理にコメディ寄りにしようとしたあたりがちょっとね、な作品。途中までは悪くないのですが。