『マリッジ・ストーリー』:妻は、夫の母親じゃないんだからね @限定公開

マリッジ・ストーリー.jpg

Netflixオリジナル作品『マリッジ・ストーリー』、一部劇場限定公開で鑑賞しました。
米国では不振の老舗映画館がNetflix専用劇場に転じて命脈を保ったというようなニュースもあるようで、プライヴェートな配信環境で観るには環境が揃っていないだとか抵抗があるという映画ファンも米国にもいるのだなぁと感じた次第です。
さて、映画。

ニューヨークで劇団を主宰するチャーリー(アダム・ドライヴァー)と劇団の看板女優ニコール(スカーレット・ヨハンソン)。
ふたりは夫婦で、間には8歳になる息子がいる。
円満だったふたりだったが、西海岸から出てきて現在の地位をなったニコールは、自分のキャリアについてある種のもやもやを引きずっていた。
もう一度、西海岸で女優としてのキャリアを築きたいと感じた彼女をチャーリーは快く送り出したはずだったが、コミュニケーション不足からなのか、夫婦関係に生じた亀裂は徐々に広がり、協議により円満離婚をしようとしていたが・・・

といったところから始まる物語で、シリアスなドラマ・・・ではなく、コメディ。
え、コメディ? と思うひとも多いかもしれませんが、コメディ。
たぶん、米国ではゲラゲラ笑っている観客が多いだろうなぁ、と想像します。

離婚、それも円満な協議離婚でなく裁判沙汰になってしまうと、とかく、本心以上に相手のことを罵って、何が何でも勝とうとする弁護士が登場する。
そこだけが、コメディなんじゃない? と思うかもしれないが、東海岸と西海岸ではまるで考え方や行動様式が異なるようで、西側ではとにかく「ここは広い(英語ではスペース、スペース)」を連呼している。
この西と東の文化の考え方の違いが、全編に散りばめられていて、そこいらあたりで、たぶん米国ではゲラゲラ笑っているだろうなぁと感じました。
まぁ、わたくしはそこまではわからないので、いくつかのシーンが可笑しい程度でしたが。

で、笑いの部分はさておき、夫婦問題の観点からみると、もっと円満で建設的は解決策だってあったろうに、と思わざるを得ません。
ニコールには、劇団を離れてニューヨークで活躍を目指すという道もあったんじゃないかなぁとも思うけれど、そこはそれ、西海岸が生まれ育ったひとは西海岸がいいわけで、日本流にいうと「東男に京女」の結婚みたいなもの。
生まれ育ったところが一番、という想いは捨てきれない、だから、話がややこしくなったのでしょうなぁ。

映画でいちばん唸らされたのは終盤の罵りあいのシーン。
「負けず嫌い」のふたりが、どんどんどんどんエスカーレートして、口汚く罵りあってしまう。
が、最後の最後にチャーリーが「アイム・ソーリー」といって崩れ折れるところ。

『ある愛の詩』では「愛とは、決してソーリーと言わないことです」(後悔しないこと、は飛躍した訳)という名セリフがあるが、「結婚とは、ソーリーと言うことです」と思いました。

ニコールはチャーリーにとって、妻であり、看板女優でもあったけれど、あまり良好でない関係の両親のもとで育った故に、母親でもあったかもしれません(これは、離婚協議のランチの際にチャーリーがメニューを決められなかったり、最後にニコールが彼の靴紐を結んでやるというシーンから読み取れる)。
もしかしたら、ニコールにとっては、この「チャーリーの母親」という役割が嫌だったのかもしれませんね。

ということで、この映画、実は、「妻は、子どもの母親だけれど、夫の母親じゃないんだからね」ってやんわりと教えてくれているのかもしれません。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

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2019年映画鑑賞記録

新作:2019年度作品:111本
 外国映画83本(うちDVDなど19本)←カウントアップ
 日本映画28本(うちDVDなど 9本)

旧作:2019年以前の作品:81本
 外国映画56本(うち劇場鑑賞14本)
 日本映画25本(うち劇場鑑賞10本)
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この記事へのコメント

2019年12月18日 23:26
確かに、いつしか母親の役割もしていた感じもしますね。
離婚に向かう物語ですが、崩壊劇ではなく再生の物語で良かったです。
アメリカでは、土地の事情が余計に身近でよく分かるのでしょうね。
独身の私が見ても、面白かったというか深かったです。
りゃんひさ
2019年12月18日 23:42
トリトンさん

コメントありがとうございます。
コメディなので、最後は関係は再生しますね。
初めに話し合っていれば、このようにうまくいったかもしれませんね。
じゃむとまるこ
2019年12月30日 22:17
こういう形で離婚というのはやはりアメリカですね、日本だと離婚はしないかなと思います。
ノア・バームバックさん、離婚に懲りたのかグレタ・ガーウィグさんとは結婚はしていないですね。
結婚は社会的な制度なので、日本だとリスクは大きいですが、得るものも大きいように思います。
りゃんひさ
2019年12月30日 22:44
じゃむとまるこさん

こういう場合だと日本だと離婚しないことが多いと思いますね。日本だと社会制度的に、結婚している場合の方が保障その他で得るものが大きいですから。
ぷ~太郎
2020年03月11日 16:42
これは大好きな作品です。大体りゃんひささんと同意見ですが、私はニコールはチャーリーの母親の役割が嫌ではなかったと思います。嫌だと思っていたら、メニューなんて決めてあげないし、靴紐だって結びませんよ、絶対に!
彼女は母親の役割も含めて彼が好きなんですよ。でもやはり自立の道は諦められなかったということでしょうね。
りゃんひさ
2020年03月11日 21:31
ぷ~太郎さん

なるほど、慧眼です。