『僕はイエス様が嫌い』 :シンプルな物語を繊細な演出で魅せる青春前映画 @DVD

僕はイエス様が嫌い.jpg

昨年初夏に公開された日本映画『僕はイエス様が嫌い』、DVDで鑑賞しました。
海外の映画祭で高評価を得たというインディーズ作品です。
さて、映画。

東京から雪深い地方に引っ越してきた小学5年生の男児・由来(佐藤結良)。
契機は祖父が他界したこと。
転校先はミッション系の小学校。
毎日、礼拝の時間がある。
なかなかそんな環境に馴染めないなか、サッカーをきっかけにクラスメイトの和馬(大熊理樹)と仲良くなる。
それは、由来が目の前に現れた小さなイエス様に「友だちが欲しい」と祈った結果だったのだろうか。
けれど、ある日、下校時の帰り道、和馬は事故に遭い、昏睡状態に陥ってしまう・・・

という物語で、この後、タイトルのようになるわけなので、物語としては小さな小さな物語で、よくあるといえば、よくある物語。

でも、よくある話だからといってつまらないかというとそういうことはなく、少年ふたりのやりとり(雪上でのサッカー、人生ゲームなど)の他愛ない場面でも、じっくり撮っているせいか観入ってしまいます。

引きの画面、長廻しと、定石的だけれども、登場人物の心情が伝わる演出は上手いとおもう。
特に、教室の廊下の使い方と撮り方は、意識的なのかどうかはわからないが、上手い。

授業、もしくはホームルームが終わって礼拝の時間になるシーンでは、教室から礼拝堂へ続く廊下を、礼拝堂を奥にみるように撮っているが、クライマックス直前の、和馬のお別れの会の弔辞を読むよう担任教師が由来に依頼するシーンは、反対側から切り返して、教室の先の奥が画面奥になるように撮っている。

この切り替えしを解釈すると、それまでの廊下は神へと続く道、他の生徒も通る道の意なのだが、切り返すことで、人だけの道(それも奥まったところ)、神との遮断を表している。
この切り替えしシーンがあることで、タイトルどおりの「僕はイエス様が嫌い」が活きてくる。

ま、これは解釈しすぎ、深読みしすぎなのかもしれないが、無意識に切り返しのショットを選ぶ・・・というのは、若い奥山大史監督の監督としての才を感じるものです。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

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2020年映画鑑賞記録

新作:2020年度作品: 17本
 外国映画10本(うちDVDなど 0本)
 日本映画 7本(うちDVDなど 0本)

旧作:2020年以前の作品: 13本
 外国映画 7本(うち劇場鑑賞 1本)
 日本映画 7本(うち劇場鑑賞 0本)←カウントアップ
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この記事へのコメント

2020年02月23日 20:31
今作はさすがに、スルーしたんですよねぇ~。
宗教絡みのって、あんまり好きじゃないなぁ、と思って。。。
りゃんひさ
2020年02月23日 23:46
トリトンさん

>今作はさすがに、スルーしたんですよねぇ~。
わたしも、さすがに劇場まで出かけてみるほど日本映画ファンではないのでDVD鑑賞でしたが予想外に良かったです。宗教色はあまり濃くありませんでしたよ。
ぷ~太郎
2020年03月03日 15:40
りゃんひささんがおっしゃる通り、演出がうまくて丁寧なためか、何てことない話なんですが、見入ってしまうんですよね。なんでイエス様が嫌いなのかはすぐわかるんですが、わかってもじっくりみてしまう。このイエス様、簡単な願い事は仰々しい動作でかなえるのに、難しい願い事にはしゅんとしてしまうようで、ちょっと可笑しかったです。
りゃんひさ
2020年03月03日 23:09
ぷ~太郎さん

大きな話がないのを撮るのはかなり難しいので、この監督、才能ありますよ。このまま伸びてほしいものです。