『レディ・マエストロ』 :音楽には性別も貧富の差もない(はず) @DVD

レディ・マエストロ.jpg

昨年秋にロードショウされた『レディ・マエストロ』、DVDで鑑賞しました。
原題は「DE DIRIGENT」、コンダクター(指揮者)です。
特に、女性であることは冠されていません。
さて、映画。

第一次世界大戦からしばらく経った1926年の米国ニューヨーク。
オランダ移民のアントニア(クリスタン・デ・ブラーン)は、音楽ホールで働きながら、指揮者になることを目指していた。
しかしながら、当時、女性の指揮者など皆無。
ナイトクラブでピアノ弾きの職を得て音楽学校に通いはじめるが、担当のピアノ教諭からのセクハラに遭い、反撃したところ傷害事件に発展、退学を余儀なくされる。
この頃、良家の子息フランク(ベンジャミン・ウェインライト)と恋仲になるが、身分の違いも大きく、音楽への熱情捨てがたく、伝手を頼って故郷オランダへと渡るが、ひょんなことで、過去に少しばかりの因縁のあったオランダ人指揮者と再会し、彼に師事を請うようになる。
それは、指揮者への道が開ける一歩だった・・・

といったところからはじまる物語で、その後、アントニアはベルリンへと移動、初の女性指揮者となってニューヨークに凱旋するが・・・と物語は展開する。

あらすじだけ取り出すと、音楽界でも珍しい女性指揮者のサクセスストーリー(伝記なのだから当然)なのだが、隠れたテーマがある。
「隠れた」といっても、日本での公開の際に前面押し出していないだけだが。

それは、音楽には、性別も貧富の差もない(はず)である、ということ。
(はず)と書いたのは、でありながらも、やはり差はあり、あり続けているということ。

それは、アントニアが働くナイトクラブの主要人物を通して、まず、表されている。

ひとりは、女装して歌うディーヴァ。
マツコ・デラックス似であるあたり、なるほどね、とも思う。

もうひとりは、ピアノ弾きからベーシストに転向し、アントニアを応援するロビン(スコット・ターナー・スコフィールド )。
このひとのアイデンティティが、ひとつのカギになっている。
それは、後半明かされるのだが、ここでは書かない。

そして、ニューヨークでアントニアが指揮するのが、老若問わずの女性ばかりの演奏者たち。
ひとつのチャレンジであるが、これはある種、女性の意地のようなものである。

そして、音楽は性別のみならず、貧富も選ばない、というのは、巻頭と巻末で異なる人物による同種のエピソードを描くことで示している。
(ラストのそれは、ま、ある種、ラブストーリー的な側面とも受け取れるでしょうが)

音楽には、性別も貧富の差もない(はず)であるが、やはり差はあり、あり続けているということのダメ押しは、物語がクローズした後の字幕で示されている。

というわけで、隠しテーマを描きつつの伝記映画なので、主人公の心情をもう少し掘り下げてもいいのになぁと思うところもあるけれど、それをすると尺が3時間を超えるかもしれないので、仕方がないかもしれませんね。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

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2020年映画鑑賞記録

新作:2020年度作品: 33本
 外国映画25本(うちDVDなど 4本)
 日本映画 8本(うちDVDなど 0本)

旧作:2020年以前の作品: 35本
 外国映画19本(うち劇場鑑賞 2本)←カウントアップ
 日本映画16本(うち劇場鑑賞 0本)
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この記事へのコメント

じゃむとまるこ
2020年04月18日 12:36
こんにちは。
この映画はレンタル店の新作の棚にありました。

ピアノ弾きからベーシストに転向し、アントニアを応援するロビン・・・・ここ、興味あります、観たいです。
8月まで(たぶん)仕事はできないと思いますので映画を観る時間はたっぷりあります(全然うれしくない、忙しい中時間をやりくりして観るというのが充実しているんですけどね~)
りゃんひさ
2020年04月18日 21:24
じゃむとまるこさん

是非ご覧くださいませ。
2020年04月19日 16:45
同じ女性としては、性差別と戦う強さが頼もしく、共感度も高くて感動的でした。
自ら運命を切り開いていく姿が、素晴らしかったです。
あと、実の母親探しという、サスペンス的なエピソードも絡んでいて、アイデンティティを巡る旅も面白かったです。
りゃんひさ
2020年04月19日 23:45
トリトンさん

個人的には、性差別と闘う話というのが好きかもしれません。その手の映画をよく観ていますので。また、実の母親探しというアイデンティティを巡る旅も興味深かったですね。
ぷ~太郎
2020年04月20日 17:07
おっしゃる通り、伝記映画としては物足りないけれど、隠しテーマがあるのでそれは仕方ないですね。複数のテーマを盛り込むと、どれもが中途半端いなってしまうのですが、この作品はギリギリのところ、何とか持ちこたえているようです。個人的にはロビン役の人に興味あり。
りゃんひさ
2020年04月20日 22:44
ぷ~太郎さん

そうですね、ロビン役は役者も役柄も興味がありますね。