『冬時間のパリ』:二組の夫婦の艶笑喜劇にかてて加えて・・・ @DVD

冬時間のパリ.jpg

昨年末にロードショウされたオリヴィエ・アサイヤス監督最新作『冬時間のパリ』、DVDで鑑賞しました。
そういえばメイン館のBunkamuraル・シネマでは同じジュリエット・ビノシュ主演の『私の知らないわたしの素顔』をロードショウしていましたっけ。
さて、映画。

老舗出版社を立て直した一流編集者のアラン(ギヨーム・カネ)。
旧知の作家レオナール(ヴァンサン・マケーニュ)の新作を出版するかどうか、頭を悩ませている。
というのも、彼の作品は売れるのは売れるが、内容は自身をモデルにした私小説もどきで、不倫話などを書いても、不倫相手が誰かがネットで話題、ゴシップ性が出版社を悩ませるところへもってきて、最近では電子書籍に紙媒体の本は売り上げを押されている。
たしかに、アランの出版社でも電子書籍に力を入れているが、そうするとまたネットではあらぬ方向に話題が盛り上がることに・・・
そんな心配を他所に、アランの妻のテレビ女優セレナ(ジュリエット・ビノシュ)はレオナールと不倫関係。
新作のモデルは、かくいうセレナだが、アランは読んでいないので気づいていない・・・
ま、アランはアランで、電子書籍担当のロール(クリスタ・テレ)と不倫中。
レオナールの妻ヴァレリー(ノラ・アムザウィ)は、夫の作家としての不安を他所に、政治家の取材に忙しく・・・

といったハナシで、基本的には、二組の夫婦のなんやかんやを可笑しく描いたコメディなのだけれど、アサイヤス監督は電子書籍と墨字本(印刷した書籍)との関係をああでもないこうでもないと延々論じるシーンに力を入れている。
そのため、不倫関係の艶笑ファルス要素は薄れていて、なんだかなぁと思うことしきり。

だが、ちょっと待てよ。
電子書籍と墨字本の関係は、劇場公開映画と配信オリジナル映画との関係のようにも思えるし、実在の自分と観念上の自分との関係とも捉えることができる。
後者ならば、フランス的実存主義の延長線上の映画ともいえる・・・かもしれません。

でもまぁ、そうであったとしても、可笑しさは減衰しているので、それほど面白い映画とはいえないでしょうね。

評価は★★★(3つ)としておきます。

<追記>
いちばん面白いのは、レオナールが自身の作品がどういう理由で売れているかを理解していないところ。
自身では、文学性が受けている、と思い込んでいる節があるのだが、読者の関心は覗き見趣味的なところなんだよなぁ。

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2020年映画鑑賞記録

新作:2020年度作品: 54本
 外国映画44本(うちDVDなど15本)←カウントアップ
 日本映画10本(うちDVDなど 0本)

旧作:2020年以前の作品: 65本
 外国映画41本(うち劇場鑑賞 4本)
 日本映画24本(うち劇場鑑賞 2本)
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この記事へのコメント

ぷ~太郎
2020年08月13日 16:34
他人の秘密は蜜の味的な思いは人間にはありますね。マスコミ報道が偽りも多いと知りながら、芸能人のスキャンダルを「そうなんだ~」と受け入れてしまうものです。そういう点についての、二組の夫婦のコメディにすればよかったものを、変なというか余計な論点を展開したために自滅した感じですかね。アサイヤス監督はどうも物事をややこしくするのが好きな傾向があるのでしょうか。
りゃんひさ
2020年08月13日 22:54
>ぷ~太郎さん

たしかに物事をややこしくする傾向がアサイヤス監督にあるかもしれません。