『再会の夏』:ストーリーは悪くないが、語り口がいまひとつ @DVD
2019年年末公開のフランス・ベルギー合作映画『再会の夏』、DVDで鑑賞しました。
監督・脚本はジャン・ベッケル。
フランス、ヌーヴェル・ヴァーグの旗手でサスペンス映画の巨匠ジャック・ベッケルの息子。
過去に『クリクリのいた夏』などを監督していますね。
さて、映画。
第一次世界大戦終戦直後、1919年の夏。
フランスの片田舎の村の留置場に収監されているジャック・モルラック(ニコラ・デュヴォシェル)
彼は大戦で武勲をあげた英雄だったはずだが・・・
そして、留置所の外では、吠え続ける一匹の犬がいた。
モルラックを軍法会議にかけるため、パリから軍判事のランティエ少佐(フランソワ・クリュゼ)がやってくるが・・・
といったところからはじまる物語。
文学賞を受賞した原作の映画化らしいが、ここのところ第二次世界大戦ではなく、その前の大戦秘話を描いた映画が増えてきているように感じます。
それはさておき、90分に満たない尺なのだけれど、どうもまだるっこいというか、核心の周辺をうろちょろ巡っているような感じがして、いい話なのに最終的な感動や面白さからは離れてしまったような出来になっています。
個人的には、映画としての話法が上手くいっていないように感じています。
物語が向かう先が、「なぜ」と「なに」のふたつに分かれていて、どちらに収斂するかが脚本で整理できていないように思えました。
「なに」は、大戦の英雄モルラックが収監された出来事であり、「なぜ」は彼がそのような行動をとった理由です。
映画としては、「なに」にあたる出来事(書いちゃいますが、名誉叙勲の勲章を犬に彼が与えたこと)を先に描き、彼が「なぜ」そのような行動をとったか、という図式の方が、効果的だったのではないかしらん。
観る側としては、「なぜ」と「なに」の両方に注力せざるを得ず、その結果、どちらからもカタルシスを得られず、消化不良になってしまった・・・と思うのですが。
原作は原作として、映画としての脚色力が弱かったように感じました。
評価は★★★(3つ)としておきます。
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2021年映画鑑賞記録
新作:2021年度作品: 4本
外国映画 3本(うちDVDなど 0本)
日本映画 1本(うちDVDなど 0本)
旧作:2021年以前の作品:15本
外国映画11本(うち劇場鑑賞 1本)←カウントアップ
日本映画 4本(うち劇場鑑賞 0本)
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この記事へのコメント
あらためてトリトンさんのレビュー、読みました。なるほど、主人公がいつまでも愛する人の不貞を疑っていることが、どかかぁんと来たわけですね。
わたし的には、不貞を疑っていることのわだかまりが犬を走らせてしまった、その結果の多くのひとの死・・・ オレは生きている価値があるんかいな・・・ と受け止めていたのですが。
まぁ古今東西、恨みがましいのは男、というのが世の常・・・
フランスは特にそうだったりして。