『鮮血の美学』:低予算・即物的な猟奇サスペンス版『処女の泉』 @DVD

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『エルム街の悪夢』『スクリーム』シリーズのウェス・クレイヴン初監督作品『鮮血の美学』、買い置きDVDで鑑賞しました。
製作は1972年、日本公開は1987年、日本ヘラルドの配給で『モンスター・イン・ザ・クローゼット 暗闇の悪魔』との2本立てでした。
2本立てというのはいまでは珍しいですね。
当時、80年代後半に入ってから、日本ヘラルドが大量に買い付けてきたB級作品を小規模劇場で2本立てで公開していて、この作品もそのうちの1本。
この2本立て上映、はじめのうちはよく観に行っていたのですが、そのうち行かなくなってしまったなぁ、なんてことを思い出しつつ、さて、映画。

米国のとある田舎町。
町の中心から離れた森の近くに、マリー(サンドラ・カッセル)は両親と暮らしていました。
マリーは17歳の誕生日を迎えたある日、最近友人になったフィリス(ルーシー・グランサム)とともにダウンタウンへ音楽ライブを観に出かけます。
が、年上で不良かかったフィリスに誘われ、マリファナを買いに町中をうろつくうち、マリファナを持っているという青年に誘われ、とあるビルの一室へ入っていきます。
するとそこには、クルーグ(デヴィッド・A・ヘス)をリーダーとする脱獄囚が潜んでいたのでした・・・

といったところからはじまる物語で、その後、マリーとフィリスは一味に監禁され、翌朝、郊外の森に連れ出され、手ひどい仕打ちの末、殺されてしまいます。
ふたりを殺した一味は、何食わぬ顔で近くの邸を訪れますが、そこはマリーの実家。
両親は、彼ら一味こそ、マリーを殺したことを知り、復讐をするのですが・・・

と展開する物語は、イングマール・ベルイマン監督『処女の泉』からの焼き直し。

ですが、当然のことながら、ベルイマン作品とは似ても似つかない。

低予算がありありの安っぽい撮影と即物的演出、それに前半繰り広げられるオマヌケ保安官二人組など、うーむ、ここからベルイマンを連想するのは難しい。
が、ベルイマン映画からホラーの要素を救い上げたのはあながち間違いではないのかもしれません。
ベルイマン作品では「神の不在」が描かれることが多いけれど、それは物質文明の中では即物的で、突然の暴力は神の不在による不条理なのかもしれません。

とはいえ、この作品、そんな高尚なことを考えたわけではないでしょう。

ただし、終盤、両親が一味に復讐して皆殺しにしても爽快感などなく、ただただ疲れ果てて虚しさだけが残るエンディングは記憶しておいてもいいでしょう。
また、『悪魔のいけにえ』よりも早く、チェーンソーを人殺しの道具に使うことも記憶に値しますね。
さらにいえば、マリーとフィリスをはじめ、大量に人死にが描かれますが、低予算かつレイティング規定などにより、そのものズバリは描かれておらず、編集で巧みにつないでいるのも、いまとなっては見どころのひとつかもしれません。

一味のリーダー役デヴィッド・A・ヘスはこの後も『ヒッチハイク』(1976)、『真夜中の狂気』(1980)でも似たような役を演じていますね。
なお、製作は『13日の金曜日』の監督ショーン・S・カニンガム、アシスタント・ディレクターは『13日の金曜日 PART2』の監督スティーヴ・マイナー

評価は★★(2つ)としておきます。

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2021年映画鑑賞記録

新作:2021年度作品:34本
 外国映画20本(うちDVDなど 8本)
 日本映画14本(うちDVDなど 5本)

旧作:2021年以前の作品:66本
 外国映画42本(うち劇場鑑賞 4本)←カウントアップ
 日本映画24本(うち劇場鑑賞 5本)
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