『カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇』:かなりラブクラフト的な映画だぁ @DVD

カラー・アウト・オブ・スペース.jpg

昨年公開のニコラス・ケイジ主演映画『カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇』、DVDで鑑賞しました。
原作はH・P・ラブクラフトの『宇宙からの色』。
ここのところ、全集で何作かラブクラフト作品も読み、ラブクラフト的映画を観ているので、それらと比較もしてみたいです。
なお、原作は未読です。
さて、映画。

米国東北部の森林地帯に近い田舎町アーカム。
祖父から続く農場を相続して、都会をから移住したネイサン・ガードナー(ニコラス・ケイジ)。
金融コンサルタントの妻テレサ(ジョエリー・リチャードソン)の他、長姉ラヴィニア(マデリン・アーサー)とベニー、ジャックのふたりの男児の5人暮らし。
ある夜、奇妙な光を発する隕石が裏庭に墜落。
その日から、ガードナーのもとに奇妙な事件が起こり始める・・・

というところからはじまる物語で、隕石が運んできたのは宇宙からの異世界物体、人間の眼には奇妙な色としか見えないエネルギー体で、人間に不可思議な影響を与えるとともに、異世界物体はある種の物理的形質も持ち、接近する地球の生命を飲み込んでいく・・・

物語的には、すこぶるラブクラフト的で、かつ映像描写もラブクラフト的。

本作は未読ながら、全集で読んだいくつかの作品で登場する形質不明の外宇宙物体というのが、的確に表現されている。
ただし、形を持たないがので、過去に映画化された『ポルターガイスト』的な表現にならざるを得ないのが残念だけれど。

隕石落下後、ガードナー家の面々は徐々に精神を侵され、自己制御が効かなくなってくる。
わかりやすいのは苛立ちや暴力的行動なのだけれど、映画としてうまくできているのは時間感覚を消失するところ。
この時間感覚消失はラブクラフト作品ではしばしば描かれるところで、映画がこれを後半にも活かしきれていたなら、もっと面白くなっただろう。

さて、異世界物体は地球生命も取り込みはじめ、犠牲者はテレサと末子ジャック。
取り込まれたふたりは、身体が融合してしまうという悍ましい描写もあり、なるほどジョン・カーペンター監督版『遊星からの物体X』はラブクラフトの影響下にあったわけだ、と妙に感心してしまう。
(もしかしたら、『物体X』の描写を本作が取り込んだのかもしれないが)。

その他、あまり多くは描かれないのだが、異世界物体が地球生命を取り込むエピソードは、森の生き物たちが融合したか形で焼けただれて発見されるとも描かれており、これは終盤への布石の形をとっている。

映画は、田舎町の町はずれに住むガードナー一家に終始して描かれるので、存外、狭い世界での描写となってしまうのだが、終盤、異世界物体にガードナー一家は負けてしまい、それのみならず、一家の住居周辺の森が色を失ってしまう、というカットが描かれる。
これは、最近観た映画の中では出色の描写で、実態を持たない異世界物体の勝利というディストピア的終末表現。

ただし、その後、その色を失った森がミスカトニック・ダムの底に沈み、人間のささやかな勝利が描かれるのは、蛇足であろう。

なお、冒頭、母テレサの癌治癒を願って長姉ラヴィニアが森の中で奇妙な儀式を行っているとか、水文学者ワード(エリオット・ナイト)により、この地の地下水がなんらかの物質で汚染されていると指摘されるのは、物語的に混乱を深めるだけで、なんら伏線の回収が出来ていないのは残念。

とはいえ、ラブクラフト原作映画としては、面白い部類だと思いました。

評価はオマケ込みで、★★★☆(3つ半)としておきます。

追記>
森奥の奇妙な老人は、チーチ&チョンのトミー・チョン
映画はポルトガル、アメリカ、マレーシアの合作。

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2021年映画鑑賞記録

新作:2021年度作品:69本
 外国映画42本(うちDVDなど17本)
 日本映画27本(うちDVDなど10本)

旧作:2021年以前の作品:101本
 外国映画74本(うち劇場鑑賞 6本)←カウントアップ
 日本映画27本(うち劇場鑑賞 6本)
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