『ケス』ケン・ローチ監督:自由な空へ飛び立てなかった孤高のハヤブサ @VHS

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自宅の積読ソフト鑑賞の続き。
今回は1969年製作のイギリス映画『ケス』。
監督はケン・ローチ
この映画ではケネス・ローチ(Kenneth Loach)の表記。
二か月ほど前に観た『リフ・ラフ』と一緒に買った中古VHSでの鑑賞です。
さて、映画。

英国ヨークシャー地方の炭鉱町。
ビリー・キャスパー少年は母、兄との三人暮らし。
母はレジ打ち、兄は炭鉱夫。兄弟の父親は違うらしい。
周囲と馴染めず孤独なビリーはある日、ハヤブサの巣を見つけ、ヒナの一羽を自ら育てることにした。
ハヤブサの名前は、ケスと名付けた・・・

というところから始まる物語。

よくある少年と動物の心温まる交流ものの枠組みなのだが、原作者のバリー・ハインズとともにローチ自身が脚色したこの映画は「心温まる」という言葉は相応しくない。
少年を取り囲む貧しくヒドイ炭鉱町の生活が、冷徹といってもいいほどのリアリズムで描かれているからだ。

特に、学校生活がヒドイ。
クラスメイトからのミソッカス情況よりも、教師連がことさらヒドイ。
なにかというと、品行不良な生徒を呼び出して鞭打つ校長、サッカーの試合と称して自分の憂さを晴らしているとしか思えない体育教師など。
唯一、ビリーに理解を示すのが、英語担当の若い男性教師。

英語の時間に、自分の関心のあることを発表させるという課題でビリーを指した男性教師。
ケスを育てることをおずおずと話はじめるビリー。
その中には、聞きなれない専門用語も飛び出し、綴りを黒板に書き、説明するうちに活き活きとしだすビリー。

このときのビリーの変化は感動的である。

そして、教師はビリーがケスを訓練しているところを見にやって来る。
ビリーを信頼して、大空を飛ぶケス。
その姿は美しく、ビリーは学校でのくすんだ様子とはまるで別人のように見える。

しかし、そんな幸せな時間は長く続かない・・・

ケスの死をもって終わるこの映画は、最近のケン・ローチが見せる弱者へのやさしさがない。
この同じ物語を現在のローチが撮ったら、どうだったろうか。
ケスは、大空を羽ばたいていったのではないだろうか。

そう思いました。

評価は★★★★☆(4つ半)としておきます。
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2017年映画鑑賞記録

新作:2017年度作品:83本
 外国映画64本(うちDVDなど16本)
 日本映画19本(うちDVDなど 0本)

旧作:2017年以前の作品:61本
 外国映画53本(うち劇場鑑賞13本)←カウントアップ
 日本映画 8本(うち劇場鑑賞 3本)
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