『静かなふたり』:サイレント、ヌーベルバーグ、現代のフランス映画を再構築した感じ @DVD・レンタル

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昨秋ロードショウのフランス映画『静かなふたり』、DVDで鑑賞しました。
近くのレンタルショップで数枚並んでいたのですが、理由は不明ながらちょっと惹かれるところがありました。
ジャケットのレイアウトなのでしょうか・・・よくわからないのですが、こういう嗅覚というのを信じちゃうのは、まぁ、長年、映画を観つづけて来たからかしらん。
さて、映画。

パリに引っ越してきて、ルームシェアをしている27歳の女性マヴィ(ロリータ・シャマー)。
同居している女性(ヴィルジニー・ルドワイヤン)は、のべつ幕無し、彼氏とセックスをしていて、その嬌声が喧しく思っていた。
そんなところ、行きつけのカフェで、住居提供付きの従業員募集を見つけ、その募集主の古本屋のあるカルチェ・ラタンに出かけた。
そこは、70歳になる店主のジョルジュ(ジャン・ソレル)がひとりで経営している店で、マヴィはすぐさま、そこで働くことにした。
そして、徐々に訳アリの店主に惹かれていく・・・

といったところから始まる物語。

なのだけれど、この映画の面白さは、そんな物語には、ない。

いや、まぁ、こんな訳あり老人に惹かれる若い女性のラブロマンスの物語に興味がある観客もいるだろうし、それを面白いと思って撮る監督もいるだろうけれど、映画のスタイルをみる限り、この映画の監督エリーズ・ジラールは、物語の面白さを基に映画を撮っているとは思えないのです。
じゃぁ、どこに面白さが・・・

というと、映画のスタイル。

フランス映画としての古典的なスタイルでハナシを進めていくあたりが、観ていて興味深いです。

すぐさま気づくのは、エピソードの終わりと始まりのつなぎを、アイリスアウト、アイリスインという手法でつないでいること。
丸い画面に収斂し、丸い画面から広がっていくというもの。
都合5回ほど登場するのだが、これはサイレント映画の手法。
そして、巻頭からしばらくの間、ほぼ台詞もなく、画でみせる演出もサイレントの手法。
(はじめは、カウリスマキの模倣かと思いましたが、カウリスマキがサイレント映画に傾倒しているところもあるので、似てくるのは必然といえば必然)

そうこうするうち、店主ジョルジュが、過去、左翼過激派のメンバだと知るところになり、映画は政治色が強くなるのですが、そこでの演出手法はヌーベルバーグ、それもゴダール的な演出で、画面外から台詞が被り、画面では置手紙などの文字が映されるというもの。

ここいらあたりで、やっと、この映画、物語を語るよりも、映画のスタイルを語る映画なのだな、と気づいた次第なのですが・・・

このあたりまでは、カメラも多くは固定で、あまり動かないのですが、その後は少しずつ動きだして、現在のフランス映画的な撮り方となっていき、「ロシュフォール」とかいくつかのキーワードが散りばめられていきます。

というわけで、この映画、やはりスタイルの映画。
後半、突然、上空からバサリと落ちてくる鳥(空中を飛び交う電波の影響のようだが)や、フクシマの放射能問題なども登場するにはするが、そこはそれほど力点を置いているとは感じませんでした。
(とはいえ、原題は「DROLES D'OISEAUX」(奇妙な鳥たち)なんだけれど・・・)
そのスタイルを愉しみながら観るとニヤニヤしてしまいました。

主演のロリータ・シャマーは、イザベル・ユペールの娘だそうで、輪郭は似ていないが、顔のパーツパーツが似ていて、興味深いです。
それほど美人ではないのですが、観ていくうちに味が出てきます。

カメラはレナート・ベルタ
ダニエル・シュミットやアラン・タネール、ルイ・マル、アラン・レネなどと組んだ撮影監督で、『勝手に逃げろ/人生』ではゴダールと組んだこともありました。
ほら、ね、やっぱり、ちょっとフランス映画史的なところが感じますよね。

評価は★★★★(4つ)としておきます。

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2018年映画鑑賞記録

新作:2018年度作品:45本
 外国映画36本(うちDVDなど 3本)
 日本映画 9本(うちDVDなど 0本)

旧作:2018年以前の作品:39本
 外国映画32本(うち劇場鑑賞 3本)←カウントアップ
 日本映画 7本(うち劇場鑑賞 1本)
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